ずっと料理の仕事に憧れていて、夢を叶えるために高校では調理、専門学校は製菓の資格を取得しました。就職活動では、両方の資格を活かせる職場を探しましたが、なかなか見つからず。秋頃には就職先を絞り込んで、候補として残ったのはパティシエの資格を活かせるカフェと、調理の資格を活かせる当館でした。当初は、製菓への気持ちの方が強かったこともあり、カフェに就職しようかと考えていたのですが、当館で働いていた友だちの強い勧めがあって、一旦はアルバイトをしてみるとことにしました。専門学校2年生の秋頃です。

アルバイトでは料理の盛り付けだけの仕事でしたが、それでも調理場では学ぶことも多くとても刺激を受けました。また、仕事もやりやすくて明るく楽しい職場だなという印象を持ちました。12月にはここで就職したいと決めて、宿主にお伝えしたところ、4月からの社員採用をいただくことができました。社員になってからは仕事の内容も広がって、技術が必要な仕事も任されています。料理長から技術を直接学ぶこともできますし、イメージ通りに人間関係もとても良くて、当館に就職を決めて良かったなと感じています。

入社して半年とまだ経験が浅いため、現在の仕事は調理補助です。具体的には、朝食と夕食の料理の盛り付けがメインとなります。1日の始まりは7時に出勤して、朝食の準備から始まります。当館の朝食はバイキング形式ではなく、お盆に小鉢8皿を載せたワンプレートスタイル。ヨーグルト、卵焼き、ひじきなどのおかずが７品目とごはんが付きます。毎日これらの小鉢を10部屋分で計20食程度、盛り付けしています。

朝食の提供が終わるとすぐに、夕食の盛り付けを始めます。当館の夕食は鍋料理がメインですので、具材を切るといった仕込み作業が加わります。盛り付けや仕込みが終わると、材料を大型の冷蔵庫に移して準備が完了します。調理場の仕事は調理場内で完結し、配膳は接客スタッフが行います。また、皿洗いなどは基本的に接客スタッフが担当しますが、夕食時には手が空いていれば手伝うこともあります。昼食時の賄いづくりも担当することがあります。約3時間の昼休憩を挟んで、20時前には勤務が終了します。

当館の調理スタッフは直接お客様と関わる機会がないため、お客様からの「美味しい」というお言葉を聞くことはありません。それだけに、お客様のことを想像しながら、一つひとつの盛り付けに心を込めて仕上げることを大切にしています。基本的な反復作業でも決して疎かにせず、盛り付けの技術力を着実に上げていくことを心がけています。その成果として、自分の技術力が上がったと感じられる瞬間はやりがいを感じます。例えば、料理長に「上手くなったんじゃない？」と褒められた時です。最近だと、ねぎとろに載せる小口切りのねぎの切り口を見られて、「腕が上がったね」と褒めていただきました。

学校では調理師の資格も取得していますが、実習で学んだことと実際の仕事とはかなりの違いがあります。もちろん、学校で学んだ基礎はちゃんと役に立っているのですが、調理の現場に入ることでより実践的な技術が学べています。例えば、鯛の三枚おろしひとつ取っても、細かい技術に大きな差を感じます。学校の授業では1人の先生に多くの生徒という構図ですが、現場ではわからないことでも料理長にいつでも聞ける環境があり、ひとつでも新しい知識や技術を教えていただけた時にも、調理の奥深さや楽しさに加え、やりがいを感じますね。

調理の仕事は、技術が必要なものとそれほど技術が必要ないものがあります。現在の私は、盛り付けなどの後者の仕事がメインになっていますが、早く料理長が担っている仕事の一部でも任されるようになりたいと思っています。具体的には、お刺身を下ろしたり、味噌汁や煮物などの味付けなどを、2年以内に任されるようになりたいです。それができるようになった先には、今後入ってくるであろう後輩に技術を教えられる立場になりたいと思っています。

もうひとつの目標は、パティシエの資格を活かして、当館の看板となるようなデザートメニューを開発することです。この想いは入社時の面接時に宿主にお伝えしていて、これまでにバースデイプレートなどの特別スイーツメニューを提供する機会を何度かいただきました。将来はデサートプレートだけでなく、豊富なデザートメニューもラインナップできればと考えています。まずは、個人的に大好きなスイーツ「オランジェット」を当館で提供することが夢ですね。

当館は、どこよりも良い職場環境だと自信を持ってオススメできます。例えば、旅館業で定休日があるところはなかなかないと思います。プライベートな時間がしっかり保てることで、私の場合は定期的に友だちと飲みに行くことができています。繁忙期の後に設定されている長期休暇では、一般の人とは休みがずれるため、どこかに出かける場合でも混雑が避けられるメリットがあります。

スタッフ同士の年齢が近いため、いつも和気藹々とした雰囲気です。分からないところがあっても、すぐに先輩や仲間に聞くことができますし、楽しみながら成長することができる職場だと思います。特に調理場はスタッフの人数も少ないため、料理長にはいつでも何でも聞きやすく、優しく丁寧に教えてくれます。勉強の機会も用意されています。今年の研修旅行では沖縄に連れて行ってもらい、とても楽しい時間を過ごせました。3泊4日の滞在中は毎日違うホテルに泊まって、初めての沖縄料理を味わいながら、調理の勉強にもなりました。新卒でも安心できる環境なので、積極的にエントリーして欲しいですね。